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アンソロの思い出 -3-

例によって間が…アンソロ関連はこれで最終記事です。10年ひと昔って言いますが、ようやくあの頃のことを振り返り、また首を前に戻すことができました。だいぶ死に体ではありますが、このサイトをまだ見てくださる方がいるという幸せ、心からありがとうございます!

2008/03/02 WEB企画 鳴神月翡翠祭 アンソロジー『翡翠』
発行人/秋季羽さま&周防 
A5 / 160p / オフセット / カラー口絵8P / 付録CD-R / 1000円
表紙 / アートポスト180kg  本文 /上質90kg
本体印刷 / (株)サンライズ 巻カバー / 松本コロタイプ光芸社

90年代後半から00年代初めはWEBサイトでの同人活動が台頭した時代です。誕生日や季節行事にはファン有志のグループが代わるがわる企画を立ち上げ、お祝い特設サイトに集って作品を持ち寄り、掲示板やチャットで交流しました。個人サイトはリンクページで繋がり合い、そのうちサイト同士を結ぶコミュニティや検索エンジン(サーチ・同盟・リングなど)がジャンルやCP単位で立ち上げられ、個人単位のサイト活動を支えていました。

そんな時代背景で『鳴神月翡翠祭』、征当の攻め征士さんの34回目の誕生日を祝うWEB企画でした。タイトルは共同主催の秋季羽さんの考案です。6月は水無月っていいますけど、雷雨の多い季節ってことで鳴神月ともいうそうで。

「夏雨はなほはれやらで鳴る神の月にもなりぬ夏や暮るらん」

蔵玉集

翡翠はいわずもがな伊達さんの色(萌え震える)センス大事…雅趣に富んだ大好きな企画名です。
主催は有志で毎年変われど、恒例開催の公募WEB企画へは近所のお祭り感覚で皆さん気軽に参加くださって、後夜祭であるまとめアンソロ『翡翠』は2007年の伊達誕企画の賑わいを直に感じられる本になりました。

WEB企画からのアンソロ本は執筆メンバーと作品テーマ、構成とページ数が決まっているぶん不安要素が少なく、プラスアルファの企画やおまけをゆっくり考える気持ちの余裕があります。
真のラスボスは校正作業でした。もとがWEB企画なので解像度の壁、ネット小説を2段組紙原稿にしたときの違和感、行間の調整。出力してみて印刷に出てないグレーや細すぎる線の加筆修正、まるで文化財修復職人です。楽しいですが本文の可読性を上げるための膨大なこの作業、本当に終わらない。公私ともに年度末繁忙期のなか、合間時間で2週間はかかりました。校正は分担したほうがいいです…涙

本体は同人印刷サンライズさんの印刷、アンソロフェアとして口絵4ページ無料サービス(これを当て込み決定)、もう2枚有料プラスして口絵8ページ分にカラー企画を組みました。
WEB企画に参加されていない、オフイベントを活動のメインに置かれている先輩作家さんを5人お招きし、作風に合ったテーマで(吸血鬼・リーマン・ホスト・和服・天使・魔王)1ページづつカラーイラスト制作をお願いしました。(特にKおるこさん、本文にも描きおろしイラスト・カット・漫画、本当にありがとうございました涙)
また、おまけとしてWEB企画に寄稿されたカラーイラストを収めたCD-ROMを巻末に添付。本文に掲載したイラストはモノクロで、せっかくの美麗カラーを見てもらえないのが悔しかったので。手間コスト度外視の自己満足です。

紙化前提でのWEB企画でしたので、投稿イラスト規格はA5/RGBモード/350dpiに設定(企画サイトへアップするときは72dpiに)。本来ならモノクロ紙原稿の基準は600dpiですが、カラーでその解像度は重すぎて断念(CDはそのフォローアップ)。今回はフルデータ入稿、印刷の上がりは私の目には問題なくまあクリアな印象でした。

本体表紙

巻きカバーは主催の秋季羽さんと私で表裏分担して描き下ろしました。
本体の表裏表紙もカラーで、縮小したWEB企画寄稿イラストをネガフィルム枠にはめ、コンタクトシート風に。カラーへの執念がだいぶ怖い。
カラーカバー印刷は当時カラー印刷に定評のあった松本コロタイプ光芸社さん。本来なら本体の表紙印刷のみ松コロさんにお願いしたかったのが、本文印刷参入をめぐる騒動で同社が印刷組合内ペナルティ措置中、表紙や口絵の持ち込み受け入れを他社が軒並み拒否。本体はまるごとサンライズさんにお願いすることにして、未練の松コロさんには単独巻きカバーを。やりたいことを全部突っ込みました。
こだわりがあるとあちこち膨れ上がるので、自己満足で追加したオプションを頒布料に反映させるかどうかは思案のしどころだと思います。テーマ上必要なら買う方としてはむしろカンパしたい気持ちですが、やりすぎは身も財布も滅ぼしますし、締め切りも厳しくなります。装丁にこだわるより内容、そもそも本文の束に表紙がついていれば十分なのです。

最初の頒布は2008年3月開催の鎧オールオンリー『NO BORDER』さま。他のCPでもアンソロやイベントがありましたから、広報応援としてパンフへCM記事を掲載下さったり会場内にポスター掲示いただいたり、その節は大変お世話になりました。
個人主催のこの時代はCM記事を交換掲載するのが恒例でした。
『翡翠』本文内掲載CMを確認してみると同年の鎧関連イベントは「伸当熱(赤豚内伸当プチ5/3)」「真田まつりS(遼受オンリー10/19)」「おかげさまで20周年(赤豚内鎧オールプチ6/29)」「Booze-up!Final(征当オンリー10/12)」(いずれも2008年)でした。
2011年まで個人主催のオンリー(真田受、当伸、当征、征当、魔将)が開催されてましたがその後12~14年はイベント不在で、2015年の民夫ちゃんの赤豚主催プチ『武装演舞』に続きます。 『翡翠』はこの最初の武装演舞で完売、だいぶ長旅でした。お手に取ってくださった皆様、ありがとうございました。

30周年の公式燃料を機にオフにも人が戻ってきて、 個人の時代から企業の時代へ、早いもので武装演舞も6を数えますね。
巷でよく「30年の時を超えて」みたいなフレーズを聞きますが、超えるどころかみんなが地道に打ってきた点がつながって線になり島になり、さらに先に伸びて…このジャンルの点の一つでいられたこと、人生の大事な宝物です。

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テーマの著者 Anders Norén

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